改めて

学生時代をすごしたこの街をいい街だと思った。
家から大学を通って繁華街までわずか4キロか5キロほどの道のりの間で、私は一体どれだけの知り合いを作ってきただろう。
バイトの仲間とは音楽の話題で今でも盛り上がれる。1年の間なんて感じない。
東京とは違って広く青く広がる空を見ながら自転車を漕いだ。
孤独で、何かを失くしていて。そんな思いをつい抱きがちだけれど。
根無し草で、未だ1つのところに安住するような自分は想像がつかないが、帰って来たような感覚を抱くこの街は、きっといつまでもなにかしらの心の安定として残るのだろう。
街を歩けば知り合いに会える。そんなことが安心することなのだと。
どのようにして故郷というものを人が感じるのか、そういうことを久しぶりに少し感じた気がした。