女性

は冠婚葬祭の折には必ず必要になるからと、母が真珠の一連ネックレスをくれた。
私が就職で関東に来る前、大学時代4年間住んだ部屋を引き払って実家に1週間ほどだけ暮らしていたとき、実家の近くの宝石屋に立ち寄って、真珠のネックレスたちを見せてもらったことがある。
物により値段はまちまちで、それこそ学生でも少しバイトをすれば買える値段から、ボーナスをほとんど使ってしまうほどの値段もあり、とりあえず真珠とはどんなものなのか、それまで宝石のアクセサリーの類とは縁の薄い私は、店員さんからわかりやすく教えてもらった。
葬式といったことには使えないが、祖母の形見があるからと真珠をもらった。それを愛用しながら、すっかり冠婚葬祭用のもののことは母から連絡が来るまで忘れていた。
店はそこのものだろう。そういうことはわかっていたが、デザインを見て、そういえばあのときに、このタイプのデザインだと魅せ方もいろいろあってとても素敵だと、店員さんを交えながら話したような記憶をおぼろげに思い出した。
祖母の形見の金の真珠のペンダントの細工が見事で、もらったときに細工がとてもいいと気に入った。形は違えど、それを髣髴とさせるような細かな留め金細工で、偶然なのか、そのとき私が言ったことを覚えていたのかわからないが、まぁ素敵なものをよく娘2人にくれたものだなと思う。姉のものがどんなものかは知らないが。