夜、

涼しいというよりも肌寒くなっている中で、自転車を漕ぎながらの家路。頭の中は不思議にくるくる言葉を紡ぎ出す。
中原中也の詩を音読してみる。昔から詩の言葉の響きが好きだった。小学4年まで使っていた国語の教科書は、明治や大正の頃の詩が多くて、引っ越した先の5.6年の頃のより好きだった。
石川啄木の短歌に特に心惹かれた。静寂が感じられる詩が好きだ。
研ぎ澄まされた感受性は一瞬にして鈍り、消えてしまう。自転車を必死で漕いでいたときに、頭の中にあった言葉は跡形もなく消えてしまった。
すべてのものへの執着が消えそうになる。